知的財産法の観点からみるアジア諸国へのブランド展開の悩み

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「iPad」、「クレヨンしんちゃん」、「松坂牛」、「森伊蔵」、「浜崎あゆみ」、「無印良品」、「スカイツリー」
これらが共通して抱えている問題、と聞いて何か思い浮かぶものはありますか?
少し前に、アップルが「iPad」に関連して6000万ドルを支払うことになったニュースも、この種の問題の一つです。

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そう、これらは皆、それぞれのブランド等の商標をめぐって中国企業や政府との間でトラブルになるなどの悩みを抱えているものです(「スカイツリー」の表記は、「東京天空樹」ですが)。

今や、多くの企業が中国をはじめとするアジア諸国に進出し、自社のブランドを展開しています。その数は、これからも増え続けるかと思いますが、そのときのブランド戦略で問題となるテーマの一つが商標問題です。

今回は、アジア諸国における商標問題、その中でも、現在世間の関心が高い中国における”抜け駆け商標登録の問題”について、2回に分けてざっくりとまとめてみました。

まずは、この問題が起きる背景から簡単に。

商標権は、知的財産権の一つで、登録されることで、名称やロゴなどを独占的に使用できる権利のことです。そして、商標には以下の特徴があります。
1 原則として、各国独自に認められる。
2 他国で登録されていても、自国で登録することができる。
3 最初に届出をした人が、その商標について権利を得る(先願主義)。

その結果、諸外国で知られているブランド名などが、中国企業などによって、将来の商標使用料(ライセンス料)を見越して中国などにおいて抜け駆け的に登録され、その商標が持つ経済的な価値にフリーライド(タダ乗り)することが許される結果になっています(これが、いわゆる抜け駆け商標登録の問題)。
特に、日本企業においては、中国本土に進出してブランド展開等をするに先立って、親日国である台湾にまず進出し、台湾での実績を足掛かりにして中国本土に進出することがしばしば行われているようです。
ところが、「クレヨンしんちゃん」の図形と文字商標(中国語で「蜡笔小新」)のように、台湾でこれらの商標登録はしたものの、クレヨンしんちゃんを展開する双葉社の知らないところでこれらの海賊版が中国本土に出回り、それに目をつけた中国企業が双葉社よりも先に商標登録をしてしまうといったケースなどが見受けられます。

このように、企業のブランドや作品等が一旦海外で第三者に商標登録されてしまうと、その商標権が取り消されるなどされない限り、その海外でのブランドビジネスを展開することがとても困難となります。
日本貿易振興機構(JETRO)によると、このような商標に関する問い合わせは年間600件以上あり、最近は中国だけでなく、インドネシア、台湾、韓国でも日本企業の商標が狙われている、とのことです。

この悩ましい問題に対して日本企業としてはどのように対処していくべきか。
次回は、その点について法的な観点から解決策を探ってみたいと思います。
つづく・・

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