”スマホ下取りプログラム”から考える新規ビジネスと「業法」のルール

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昨日ニュースでとりあげられていましたが、
“スマホ下取りプログラム”(iphone5などの購入時に、それまで使っていたスマートフォンを下取りするサービス)
を公安委員会の許可なく実施することは
古物営業法に違反する、という指導が警視庁からあったようです。

今日は、この事例をもとに、新規ビジネスを開始する際に
注意しておきたい「業法」のルールについて書いてみます。

“スマホ下取りプログラム”というのは、
iphone5の発売と同時にソフトバンクが開始した
スマートフォンを下取りするサービスで、
このプログラムを利用してスマートフォンを購入するユーザーは、
下取り相当額の金額、毎月の利用料から割引を受けられるようです。

さて、このプログラムと古物営業法とはどういう関係があるのでしょうか。
名前が少し古めかしいですが、古物営業法は、
盗品等(平たく言うと犯罪の被害品などのことです)の売買の防止、速やかな発見を図る目的で、
質屋や中古品のオークション事業者などの営業を規制しているルールです。
“スマホ下取りプログラム”は、質屋のビジネスとは違うようにも思いますが、
本当に許可が必要なのでしょうか。

古物営業法は、
(1)「古物」を
(2)「売買」する営業
を、一定の営業形態を除いて(※)、
「古物営業」(古物営業法2条2項)、
つまり都道府県の公安委員会の許可を必要とする営業としています。
(無許可営業には「三年以下の懲役又は百万円以下の罰金」という罰則も定められています。)

(1)「古物」を(2)「売買」する営業といえるか、順番にみていけば、
許可の要否がわかる構造ですので、順にみていきます。

まず、(1)ユーザーが下取りに出すスマホの多くは、
「古物」、つまり「一度使用された物品」(古物営業法2条1項)に該当します。

次に、(2)「売買」に下取りサービスも含まれるのか、
この「売買」の解釈が今回のポイントと思います。
(※法律上の「売買」は日常的な用語と
一致しないこともありますし、法律ごとに意味が違うこともあります。)
古物営業法の「売買」については、必ずしも明らかではないですが、
警視庁ホームページのFAQなどをみると、
a)販促サービスの一環として一律下取り・値引きをする場合
(ジャパネットたかたの通販などで聞いたことがありますね)は「売買」に該当しない、
b)もっとも、下取りの際に査定等して値段に差が出る場合、
年式・型番でランク付けしての下取りは、「売買」に該当する、
というのが警視庁の見解のようです。
今回の件は、この見解のb)に該当する疑義があり、
指導がなされたのではと思います。
(警視庁http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetuzuki/kobutu/kobutu.htm

販促サービスの中でa)とb)を区別する合理性はあるのか、
などの議論もありそうですが、
少なくない数のスマホが窃盗の被害品となっている背景も
今回の指導に影響を与えたのかもしれません。

※「自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの」
は許可が必要な「古物営業」から除外されています。
つまり、自己が顧客に売った商品の買戻しについては、
(盗品等が混入する可能性が低い営業形態として)
規制の対象外になっています。
こちらの規定で免許不要とはならないのでしょうか。
“スマホ下取りプログラム”では、
ソフトバンク以外の量販店などが販売したスマホの下取りも含まれているようですので、
結論としては、こちらでは除外とはならないケースと考えられます。

***
さて、今回の指導の当否はおいて、古物営業法のように一定の営業に
許認可や届出を求める法律は「業法」と呼ばれています。
今回のスマホ下取りプログラムのような論点は、
「古物」だけに限った話ではなく、
例えば、不動産、有価証券、医薬品、酒類を取扱う場合や、
職業紹介など人材関連、旅行関連のサービスを行う場合でも
「業法」規制があります。
宅建業法、金融商品取引法、薬事法、酒税法、
職業安定法、旅行業法など例をあげればきりがないです。。。

こうした許認可の地理的な範囲は基本的に日本国内に限られますので、
日本で免許を持っている場合でも、
ビジネスを他の国に展開する場合は
他の国で同種のルールがないかなどcarrying on businessの論点
を確認する必要もあります。

新しいビジネスを開始する場合にこうした論点があるかないか。
論点がある場合に、ビジネスモデルを工夫して
(例えば、今回の件はグループ会社のSBテレコムの許可を利用しています)
法律上のグレー部分を払しょくできないか。
許認可を取る場合の難易度やコスト。
これらについては、アイデアの段階から早めにお近くの専門家に相談することが
大切です(サービスのローンチ直前で相談に来られるケースもありますが笑)。

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