スタートアップが知っておきたい法律知識④クラウドファンディングをめぐる新しい動き

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最近日本でもクラウドファンディング関連のニュースが増えてきて注目があがっています。
そこで、今回は「クラウドファンディング」の最新の動向についてごく簡単にご紹介したいと思います。

・資金とアイデア、ネットで調達 クラウドファンディング普及 (日本経済新聞 2014/3/24)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO68717600S4A320C1TJE000/

・クラウドファンディング法案が閣議決定、未上場株に一人あたり50万円までの投資が可能に(THE BRIDGE 2014/03/31)
http://thebridge.jp/2014/03/crowdfounding-pickupnews

 

■クラウドファンディングとは!?

クラウドファンディングとは、「新規・成長企業等と投資者をインターネット上で結び付け、多数の者から少額ずつ資金を集める仕組み」のことで、英語の「Crowd」(群衆)と「Funding」(資金調達)が元になっています。

平たくいうと、投資家、ベンチャーキャピタル、事業会社、銀行から多額の資金調達を行うのではなく、インターネット・ソーシャルメディアを活用して情報を伝播し、群衆から小口の資金調達を行う点に特徴があります。
 
「クラウドファンディング」と一口に言っても、資金提供の法的な性質によって、様々です。

例えば、以下のような類型での整理がされています(※1)。
・株式型(資金提供者が株式を取得し配当や株価上昇による利益を受ける形です))
・投資(ファンド)型(資金提供者がファンド持分を取得し事業の収益分配等を受ける形です)
・貸付型(金提供者が一定期間経過後に元本と利息を受け取る形です。ソーシャルレンディングとも呼ばれます。maneo(http://www.maneo.jp/)など。資)
・購入型(資金提供者が資金提供の対価として、成果物やサービスを購入する形です。READY FOR(https://readyfor.jp/)など)
・寄付型(資金提供者が無償で資金を提供する形です。JustGiving(http://justgiving.jp/)など)

 
■株式型クラウドファンディングの解禁!?

このうち「株式型」について、資金提供者は、元本の保証も利息の支払いも受けられない意味でリスクを負いますが、代わりに、大きなリターン(儲け)を受けられる可能性もある点で、一定のニーズもあるでしょう。

ところが、この「株式型」の利用を促進させる仲介、プラットフォームを事業とすることは、現行の金融商品取引法・日本証券業協会の自主基準等の下では困難です(現行法の説明は少し長くなるので割愛します)。

そこで、新規・成長企業への投資を促進させる観点でこれを緩和する改正法案が国会で審議されています。

具体的には、非上場株式について、「発行総額1億円未満、一人当たり投資額50万円以下」のクラウドファンディングを解禁するとともに、クラウドファンディング仲介業への新規参入に際して法令上必要となる最低資本金基準を引き下げる等の案が検討されています(※2)。

他方で、詐欺的な行為に悪用されないよう、投資者(資金提供者)保護のためのルールとして、仲介者に対して、「ネットを通じた適切な情報提供」「ベンチャー企業の事業内容のチェック」するための体制の整備などが義務付けることが検討されています。

 
■スタートアップ企業の立場からみると

クラウドファンディング業者(仲介者)の提案できる資金調達が多様となることで、スタートアップ企業にとっても資金調達の選択肢が増える歓迎すべき法改正にも見えます。

例えば、IPO前の段階だけではなく、創業期間もないアーリーステージから、新しいアイデアや技術を事業化するための資金調達ができることも期待されます。

 
■ 今後の課題は!?

他方で、改正案の方向性で進むと、クラウドファンディング業者(仲介者)を通じて資金提供者向けの情報提供や事業内容のチェックがされることになり、これまで以上に早い段階から、事業のリスクやビジネスモデルの適法性等について対外的に情報開示し説明することが求められる流れになることが予想されます。

また、資金提供者に株式を発行する場合には、株主総会の議決権の取扱い(議決権を有しない種類株式とするのか等)や、株価の算定(バリュエーション)につき悩みも出てきそうです。

さらに、特にIPOを目指すスタートアップについては、反社会的勢力の排除がIPOの基準となることから、不特定多数人が株主になり得る株式型のクラウドファンディングを利用するべきか、慎重な検討が必要にもなるように思えます。

 
現在の流れで法案が可決される場合には来年2015年にも株式型のクラウドファンディング業者の新規参入が実現することにもなりそうです。
動向、要注目です。

 

(※1)各類型ごとに、クラウドファンディング業者(仲介者)に適用され得る規制や留意点が異なってきます。実際にどの類型に該当するかは、利用規約の文言等だけでは決定されず、実態を踏まえた判断となります。

(※2)金融庁ホームページ資料参照(http://www.fsa.go.jp/common/diet/index.html)。

なお、投資(ファンド)型についても、同等の規制緩和がされる見込みです。もう一つ重要な点として取引ニーズ・換金ニーズにこたえる新たな非上場株式の取引制度を設けることも法案の内容等に盛り込まれています。関連文献として、平成25年12月25日付「金融審議会 新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ 報告」についてもご参照ください(http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20131225-1/01.pdf)。

 

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