AirBnB革命による宿泊者争奪戦。世界の法規制はどう変わる?

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“AirBnB LODGING IS NOW LEGAL IN SAN FRANCISCO.”
先月、こんなニュースがアメリカで報道されました。

AirBnB(エアビーアンドビー)とは、自宅の空き部屋を短期間で貸したい人と、旅行などで宿泊する部屋を借りたい人をマッチングするウェブサービス(日本版HP:https://www.airbnb.jp/)で、2008年にサンフランシスコで始まって以降、瞬く間に世界約200ヶ国に広がり、知らない人同士がモノやサービスを共有する最近のトレンドをうまく利用して、ホテルやゲストハウスに代わる新しい宿泊方法として、今世界中で爆発的な人気を集めており、実際、僕が今住んでいるロサンゼルスでも、何人もの友人がこのサービスを利用しています。
そこに登録されている部屋の種類は、マンション、一軒家にとどまらず、城や、更には、木の上に泊まる「ツリーハウス」(笑)まで様々、部屋数では80万室を超え、昨年1年間の利用者は約600万人、その年間売上は今や2億5000万ドル(約250億円)と噂されるほど大きなサービスに発展しています。

☞ そのビジネスモデルは?
まずAirBnBのウェブサイト上で、宿泊したい部屋が見つかったら貸し主に連絡を取り、日程や条件がマッチすれば予約が成立。やり取りやお金の受け渡しなども、AirBnBのウェブサイト上で行う。
AirBnBはそこからマージン(部屋の貸し主から3%程度、借り主から6〜12%位)を取ることで収益を得る。
とてもシンプルです。

☞ 法律上許されない!?
ここまで人気になったAirBnBですが、実は、この部屋の貸し借りの形態は、世界中の多くの国で違法だったりグレーだったりする(*1)という、大きな問題点を抱えています。

例えば、日本の旅館業法では、ざっくり言えば、有料で他人を自分の部屋に泊めるためには、原則として、旅館業の許可をとる必要があります。
もう少し具体的に言うと、旅館業法は、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」を旅館業として規制しており(*2)、旅館業法の通達によれば、旅館業に当てはまるかは、
① 施設についての衛生上の維持管理を誰が行っているか:
→ 貸し主が行っている場合には、旅館業に当たる方向
② 施設利用者(宿泊者)が当該部屋に生活の本拠を有しているか:
→短期滞在は旅館業に当たる方向。通達では30日が目安
によって判断されるとされていますが(*3)、AirBnBによる部屋の貸し借りの場合では、短期滞在が圧倒的に多いため、この通達をそのままあてはめれば、ほとんどのケースでは、部屋を貸して他人を宿泊させることは旅館業に該当し、行政から許可を取る必要があります。

ところが、実際は、一般の住宅が旅館業の許可を取ることはとても難しく、無許可で部屋の貸し借りがなされているのが実態です。

日本のみならず、世界中の多くの都市でも、AirBnBのもとで行われる短期の部屋の貸し借りは、借り主の安全や公衆衛生の維持のため、また、ホテル業の許可制の潜脱(ホテル税を支払っていない、ホテルが営業できない場所にあるなど)になるため、それぞれの地域の規制に違反して違法となるか、少なくともグレーでした。

☞ 合法化の動き
もっとも、借り主の安全や公衆衛生の維持、ホテル税の潜脱といった問題が解消できるのであれば、旅館業・ホテル業の許可なしでも部屋の貸し借りを認めるべきだとして、最近では、世界中の多くの国において、合法化の呼びかけや運動がなされています

そんな中、先月、AirBnB発祥の地であるサンフランシスコにおいては、一定の条件、例えば、貸し主は永住者に限定、貸し主の財産の損害に対する保証、ホテル税を支払などを満たせば、AirBnBの利用が法律上も認められるようになりました。
日本においても、アベノミクスが推進する国家戦略特区における事業として、外国人の滞在ニーズなどに応えて、10日以上の滞在などの一定の要件を満たす場合には旅館業法を適用しないという特例を発表しました。

☞ 今後どうなる!?

今年ブラジルで開催されたサッカーワールドカップでは、10万人以上の観光客がAirBnBを利用したと言われています。
日本においても、規制緩和が実現すれば、2020年の東京オリンピックに向けて、宿泊者争奪戦が加熱することが予測され、近い将来には、宿泊のみならず不動産の活用なども含めた従来の文化に大きな変化が起きることでしょう。
他方で、AirBnBは、今やホテル業界の売上を脅かす存在と言われており、世界中の多くのホテル業界・旅館業界が、それぞれ国の規制緩和に対して強く抗議しています。

いずれにせよ、AirBnBという起爆剤によって起こる社会の変化にこれからチャンスを見い出す事業者としては、その国における現状のルールの内容や趣旨・目的、そして、将来実現する可能性のある規制緩和の内容をよく知り、グレー部分の中の白と黒をできる限り明確にしつつ、ビジネスモデルを構築、修正していくことが大切になるかと思います。

*1 多くの国では、既存の法律が、AirBnBのような新しいビジネスモデルを予定していなかったため、解釈上グレーとなっている国が多いようです。
*2 旅館業法2条
*3 厚生省生活衛生局指導課長通知昭和 61 年 3 月 31 日衛指第 44 号

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