Airbnbとシェアリングエコノミーの広がり。日本の規制改革の第1号は?

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約1年ほど前に髙橋弁護士がAirbnbに関してサンフランシスコの新しい立法の動向を取り上げましたが(http://logbooks.jp/?p=599)、その続報です。

国家戦略特区の活用とは?

下記のニュースにもあるとおり、一昨日14日、東京都の大田区が規制緩和で一般の住宅などを宿泊施設として活用する「民泊」を来年2016年1月に始める計画を公表しました。
「大田区「民泊」1月から、国家戦略特区活用」(2015/10/15、日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO92811640U5A011C1L83000/

大田区の条例は、「東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、外国人旅客の更なる増加が想定されるなか、観光やビジネスなど多様な滞在ニーズに応え、より安心・快適な滞在環境を提供する」ことを狙いとしています。
大田区の関連資料によると、対象地域は下記地図のカラー部分で、条例のパブリックコメントも今月26日まで募集中です。(※1)

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法的に何が変わる?

この条例が制定されると、新しい規制緩和されたルール(※2)の下で、訪日外国人向けに個人の部屋などを宿泊施設として提供する日本第1号のケースになります。ざっくりいうと、空き部屋などを有効利用して宿泊サービスを提供することを希望するオーナーや居住者が、知事(東京都では区長)の認定を受けることにより、新ルールの下で、一般住宅を宿泊施設として提供することができます。

今後の課題は?

新しい試みですので、当然、旅館業法の目的の一つでもある「公衆衛生」を新しい枠組みの中でどう保持するのか、「施設での違法行為の防止」「近隣住民の不安除去」のため、どういった措置を講じるべきかなど、課題もあると思います(※3)。

また、そもそもの規制改革の内容面でも、例えば、「ホテル・旅館との役割分担」などを考慮し、7日以上の滞在のみを前提としている点について、7日以上の滞在のみ規制緩和するだけで訪日外国人のインバウンド需要を十分満たすことができるのか、などの意見もあると考えられます(※4)。

それでも、旅館業法は、もともと昭和23年の制定で、行政通達(※5)があるものの、その解釈について不明確な部分があり最高裁による判断もないところです。ルールを時代に沿ったものにアップデートし、明確で分かり易い内容とすること自体は、新しいチャレンジを促進することも期待でき、また社会全体にとっても歓迎されるところと考えられます。

とにかく規制改革の第一歩。大田区の事例が今後、東京都の他の区や全国へ与える影響も大きいと予想されます。

今後の動向に大注目です。

 

(※1)
パブリックコメントの募集の要項は下記をご覧ください。
(仮称)大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業条例案に対する区民意見等の募集について
https://www.city.ota.tokyo.jp/smph/seikatsu/hoken/eisei/riyoubiyou/ootakukokusaisennryakutokku.html

大田区の「外国人客向け宿泊施設の現状と課題」「解決の方向性(特区制度の活用」「具体的取組み(区域計画、条例化)について、下記資料で整理されています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/tokyoken/tokyotoshisaisei/dai7/shiryou5.pdf

(※2)
関連法令、旅館業法の特例の内容については以下の厚労省の通知が参考になります。
平成26年5月1日付け国家戦略特別区域法における旅館業法の特例の施行について(通知)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000045342.pdf

(※3)
平成27年7月31日付けの厚労省からの通達では、「施設での違法行為の防止」「近隣住民の不安除去」を留意点としてあげています。
外国人滞在施設経営事業の円滑な実施を図るための留意事項について (通知)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/pdf/k270731.pdf

なお、規制の問題ではなく、契約の問題ですが、部屋の賃貸借契約では、賃借人が無断転貸することを禁止する条項が盛り込まれていることが通常ですので、もとの賃貸人の承諾を得る必要がある点にも留意は必要です。

(※4)
国家戦略特別区域法の施行令では、「施設を使用させる期間が7日から10日までの範囲内において施設の所在地を管轄する都道府県(特別区)の条例で定める期間以上であること」が定められています。この背景としては、「公衆衛生や善良な風俗の保持 の要請や、ホテル・旅館との役割分担等も考慮」があることが国家戦略特区ワーキンググループの関係各省ヒアリング資料から推測できます。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/260121_kourou_ryokan.pdf

AirBnb関連の法制度は、法改正の賛否含めて国、都市により様々のようですが、一例として、サンフランシスコやロンドンの新法では滞在の日数の下限は定めず、反対に滞在日数の上限を90日とする制度設計がされています。この二都市では、具体的な数字、データをもとに、情報技術の進歩を活用した「シェアリングエコノミー」により、都市で暮らす人々や都市全体が大きな恩恵を受けるという点に焦点をあてて議論がされているところが印象的です。
サンフランシスコについて、Office of Short-Term Rental Registry & FAQs
(http://sf-planning.org/index.aspx?page=4004)、
ロンドンについて、Deregulation Act 2015
(http://www.legislation.gov.uk/ukpga/2015/20/notes/division/5/46 )参照。

なお、バルセロナ(スペイン、カタルーニャ州)、アムステルダム(オランダ)、フランスなどでも個人の住宅を利用した宿泊サービスの提供について、適法化の動きがあります。
海外のAirbnb関連の法制の動向は、AirbnbのAirbnb公共政策のブログ(Airbnb’s Public Policy blog)などでも伺い知ることができます。

(※5)
例えば、ウィークリーマンションに関して
「下宿営業の範囲について」昭和61年03月31日 衛指第44号
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe.cgi?MODE=tsuchi&DMODE=CONTENTS&SMODE=NORMAL&KEYWORD=&EFSNO=3332
また、京都の町屋ステイに関して
「旅館業法の適用について(照会)」平成19年12月10日 保保生第154号
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe.cgi?MODE=tsuchi&DMODE=CONTENTS&SMODE=NORMAL&KEYWORD=&EFSNO=3351

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