ドローンをめぐる法規制の最新動向 ~改正航空法による「空」の利用ルール~

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「ドローン ゴルフ場で活用へ」
「ドローンの光をつないで空間を巨大ディスプレイに」
「ドローンで南阿蘇村の土砂崩れ撮影」

最近、こういったニュース(*1)をよく目にするとおり、現在、世界中でドローン(小型の無人航空機)の商業利用が急拡大しています。そこで今回は、ドローンを用いたビジネスを始めるにあたって、避けて通れない法規制の動向について、複数回にわたってお伝えします。

drone

 

☞ そもそもドローンとは?何に使うの?
まず簡単に背景から。

ドローン(Drone=日本語では「雄蜂」)とは、小型の無人航空機のこといい、GPSなどを利用して自動飛行する点が、従来のラジコンとは異なります。

Drone=「雄蜂」のネーミングの由来は諸説ありますが、一説によれば、飛行中の音がハチが飛ぶ時のうなるような音に似ているからと言われています。

ドローンという言葉をよく耳にするようになったのは最近のことですが、実は、軍事や農林水産業(農薬の散布など)の分野では昔から用いられてきました。

もっとも、ここ数年のドローンの低価格化やインターネットなどテクノロジーの発展に伴い、ドローンを利用したビジネスの可能性は、従来の用途のみならず、巡視・点検、計測・観測、撮影、報道、輸送・物流、危険区域作業、空間広告、アトラクションビジネスに至るまで急拡大しています。

おそらく、2~3年後には、買い物した商品や食事の出前がドローンで自宅に届けられる、空撮を利用した映画や報道番組が作られる、光と音にシンクロするドローンを利用したイベントやショーが繰り広げられるといった時代が来るでしょう。

ドローンの商業利用によるマーケット規模の予測は研究機関によって異なりますが、たとえば、ドローン先進国であるアメリカの非営利組織AUVSIの調査では、商業利用開始後の最初の10年間で、アメリカ国内だけでも820億米ドルを上回る経済効果をもたらすと予測されています。

日本においても同じく、ドローンが今後の企業のビジネスモデルや私たちの生活にも大きな影響を及ぼすことは間違いなさそうです。

ドローン市場規模

 

☞ 法整備が追いついていない!
他方で、昨年ドローンが首相官邸に墜落した事件や、先日イギリスでドローンが航空機に激突した事件、昨年中国でドローンが盗撮に使われた事件などが発生していることからも分かるとおり、安全を維持することや、ドローンの悪用による他者への不当な権利侵害を防ぐことも重要です。

もっとも、知る限りこれまで世界中どこの国でも、道路上を走る車両や人が操縦する航空機に関するルールは道路交通法や航空法で整備されていても、無人の機械が人や民家の上空を飛びわまることはこれまで想定されていなかったため、ドローンの利用に関する明確なルールの整備がなされていませんでした。

こうした背景から、現在、テクノロジーの活用により新しいビジネスを活性化させて私たちの生活を豊かにすることと、他方で安全を維持しつつ他者への権利侵害を防ぐことを調和させるルール作りが喫緊の課題となっており、いち早く優れたルールを作ろうと世界中が競っています。


☞ 航空法の改正(2015年12月施行)によるドローンの飛行ルールの明確化

日本ではまず、2015年12月、改正航空法が施行されました。

そこでは主に
①「無人航空機」(ドローン)の明確化
② 飛行禁止区域の明確化
③ 飛行方法の制限
④ 許可を取得する方法

などについて新たなルールが規定されました。

まず、①改正航空法の規制を受ける「無人航空機」とは、「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの」と定義され、その例外として、200グラム未満のものが除外されました(なお、iphone6sプラスで192グラム)。具体的には、ドローンのほか、ラジコン機や農薬散布用ヘリコプターなどが規制の対象となります。

次に、②改正航空法は、空域を下記図のとおり4つに分類し、そのうち
(A)空港等の周辺の上空(=飛行機が離着陸する領域)、
(B)150メートル以上の高さの空域(=飛行機が飛行する領域)および
(C)人口集中地域の上空

において「無人航空機」を飛行させる場合には、国土交通大臣の許可を受けることが必要であり、それ以外の空域は飛行可能と定めました。

飛行ルール
出典:国土交通省「無人航空機の飛行ルール」

 

どこが人口集中地域かは、国土交通省国土地理院のウェブサイトで検索ができます。

実際に検索してみると、東京都内はほとんど人口集中地域にあたり、飛行には許可が必要であることが分かります。

人口集中地域
(赤部分が人口集中地域)

また、改正航空法は、③飛行場所問わず、無人航空機の飛行については、
(1)日中(日出から日没まで)に飛行させること
(2)目視範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
(3)人や物との間に30m以上の距離を保つこと
(4)多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
(5)爆発物など危険物を輸送しないこと
(6)無人航空機から物を投下しないこと

という条件を定めました。

もっとも、これらの条件を満たさない場合であっても、国土交通大臣の承認を受けることによって飛行させることが可能です。

承認が必要となる飛行の方法
出典:国土交通省「無人航空機の飛行ルール」

 

④上記許可・承認の手続については、国土交通省のウェブサイトから申請書のダウンロードをした上で、ウェブサイト上に記載された注意事項に従って申請を行うことになります。

なお、許可・承認に要する日数は、10営業日程度とされていますが、申請書類に不備がある場合などに備えて、スケジュールに余裕をもたせた方がよいでしょう。

その他にも、国土交通省が、「無人航空機(ドローン・ラジコン)の飛行に関するQ&A」を公開しており、そこでは例えば、
(1) 航空法に従って飛行すれば、私有地の上空を飛行してもよいのか(回答はページ最終部分へ)
(2) 人口集中地区であって、屋内で飛行させる場合も許可は必要なのか
(3) 申請場所はどこか
(4) 許可や承認の申請はインターネットやメールでも可能か
などの詳細について記載されています(*2)。

なお、これらの規制に違反した者(法人を含む)に対しては、50万円の罰金が科されます。

☞ ドローン規制法の施行による重要施設の保護
上記航空法とは別に、2015年4月に総理大臣官邸屋上に小型のドローンが落下した事件を受けて、重要施設に対する危険を未然に防止する目的で、いわゆるドローン規制法が先月衆議院で可決され、2016年4月7日に施行されました(*3)。

これにより、ドローンを首相官邸や原子力発電所の上空などで無断で飛行させることが原則として禁止されました。

***

このような航空法改正や新法は、主に安全維持のためのルール設計ですが、ドローンの利用は、他にも様々な問題を伴います。利用にあたっては他にも種々の法律上の 問題点をクリアしなければなりませんが、この点は別稿で綴りたいと思います。

 

つづく

 

*1 楽天が発表したドローン配達「そら楽」
マイクロアドが発表した21世紀の広告 「SkyMagic」
熊本地震による土砂崩れの様子をドローンが撮影

*2 その他にも、国土交通省による「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の 安全な飛行のためのガイドライン」や「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」などご参照

*3 法律の正式名称は、「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」。
なお、総理大臣官邸屋上にドローンを落下させた人には、刑法上の威力業務妨害罪が適用され、懲役2年、執行猶予4年、ドローン没収という判決が下されました。

 

Q&A回答
(1) ルール通り飛行する場合や許可等を受けた場合であっても、第三者の土地 の上空を飛行させることは所有権の侵害に当たる可能性あり。
(2) 不要。
(3) 空港等の周辺や、高度 150m 以上の飛行の許可申請については、各空港事務所へ。 それ以外の許可・承認は国土交通省航空局安全部運航安全課へ。
(4) インターネットによる電子申請が可能となるよう現在準備中。原則としてメールは不可。
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